オイルの働きについて
バイクのオイルには5つの役割があります。
意外と全ては知らない、という人も多いので覚えておくと良いでしょう。
特に、クッション、密封については知らないという人が多いようです。
1つ目は潤滑作用です。
これは、金属と金属の摩擦軽減、溶着・摩耗防止という役割です。
2つ目が冷却作用です。
こちらは、エンジンの燃焼によって発生する熱、摩擦によって発生する熱を運び出すという役割です。
3つ目は清浄作用です。
熱で酸化したオイル、燃焼・ブローバイガスにより生成された化合物、部品の摩耗時に発生した金属粉などを取り込むという役割です。
4つ目は密封作用です。
ピストンリングとシリンダー壁との間にオイルの被膜を作ることで、燃焼室からガスが漏れるのを防ぐという役割です。
5つ目がクッション作用で、それぞれの部品間の運動によって起きる衝撃を、オイルの被膜が和らげるという役割です。
エンジンには最適運転温度があります。
燃焼することでエンジンの各部品が膨張するのですが、空冷エンジンは水冷エンジンと比較して運転環境による温度の変化が大きいことが一般的であり、厳しい条件となりがちです。
そして、空冷エンジンはオイル依存で最適運転温度を維持しています。
最近のハーレーでは特に高温域での依存度が高いため、油温の上限と言われている120度まですぐ上がってしまうのです。
排ガス対応エンジンの場合、希薄燃焼しているのでガソリンでの冷却効果にはあまり期待できず、燃焼温度と油温も上がりやすくなっています。
オイルの劣化について
エンジンオイルは、ベースオイルにポリマーを配合したものです。
ベースオイルの性質は、温度が上昇するに従って流動性が高くなる、つまり粘度が低くなるというものです。
このままだと、高温になるエンジンの内部では働けません。
そして、ポリマーは拡大するとマカロニに似た形をしていて、低温だと縮んで高温になると拡がり、ベースオイルの温度特性補正するような仕組みになっています。
ポリマー配合により、温度の幅が広くなっても粘度を保ちやすいようになっているのです。
ところが、使用期間の長いエンジンオイル内のポリマーは、破壊されていて数が減るためオイルの粘度も徐々に下がっていきます。
しかも、運転でエンジンオイルの上限温度を超えることでも、ポリマーは激しく減っていきます。
このわうに限度を超えた高温環境での使用、使用期間によってサラサラしたエンジンオイルとなり、本来の機能を果たせないオイルとなってしまうわけです。
オイルの臭いは未使用時、高温での使用中、使用後でそれぞれ変化するため、臭いをかぐとある程度状態が分かります。
中でもオーバーヒート、またそれに近い状態の時のオイルの臭いは、鼻を突くようなきついものです。
この状態だと、かなり酸化が進んで潤滑性能が低くなっています。
そのまま使い続けていると、摩擦熱発生が大きくなるためにオーバーヒートがさらに悪化する可能性が高くなります。
放置すると想定していない摩耗や焼き付きなどによって異音発生し、最悪エンジンが故障してしまうこともあるため、注意しなければなりません。
ハーレーのオイル3種類の交換頻度について
エンジンオイルは、オーバーヒートのような突発的なトラブルなどさえなければ、2500kmを目安に交換するようにしましょう。
あまり長い距離を走らないという場合、春と秋の年に2回程度でも構いません。
冬に走ると急激な温度差が発生してエンジンの内部で結露が起き、水分がオイルに混入する可能性があるため、春になったらオイル交換した方が良いのです。
また、夏の過酷な気温を経験したことにより、オイルが傷む季節の秋にも交換した方が良いため、年に2回となります。
ミッションオイルは大雨の時に長時間走ることでブリーザーからの水の混入が起き、白濁してしまうことがあります。
もし、そうした条件での使用があれば必ずチェックした方が良いです。
交換頻度としては500km程ですが、元々の容量が少ないのでちょっとしたオイル漏れが起きただけでもオイルレベルが下がるため、オイル量のチェックはこまめに行うようにします。
なお、ヘリカルギアを採用しているモデルの場合、より過酷な条件下での使用になるため早めの交換を心がけたほうが安心かもしれません。
最後に、プライマリーオイルは5000km程での交換頻度がおすすめです。